薬局の将来性
門前薬局の将来性
門前薬局とは病院やクリニックの近く、または向かいにある薬局のことです。
日本の薬局は門前薬局が主流です。患者さん側も病院やクリニックに行ってすぐ近くの薬局で薬を受け取ることができるので利便性も高かったため今まではこのスタイルが多い傾向にありました。
薬局側から見た門前薬局のメリットは、
- 一定の数の患者数が確保できる
- 必要な薬がある程度決まっているので、在庫に無駄がない
といったことが挙げられます。
デメリットとしては、
- 病院やクリニックに経営状態を依存することになる
- 周りに同じような薬局が多々あり、患者がばらける
- 国が門前薬局を推進していないので、保険点数が下げられている
といったことが挙げられます。
特に、国が門前薬局を推進しておらず調剤報酬点数のうちの調剤基本料は4つに分かれており、門前薬局は16~21点となっており、面薬局(町中にある薬局)の42点と比べ半分程度になっています。
保険点数は1点10円で計算されるので、一回の会計で21点調剤基本料が下げられた場合210円下がることになります。
患者さんが一日60人来局する薬局であれば、40万近く下げられることになります。
これからまだまだ下げられる可能性もあるため、薬局の経営が国の方針で大きく影響を受けることになり将来性があまりないと考えてもよさそうです。
また、クリニックや病院が移転・つぶれた場合、周りの薬局の経営状況は悪化することは確実でしょう。
新型コロナウイルスのクラスターが起こった病院などでは、外来受付の停止などの措置が取られました。
その病院の門前薬局では、外来受付停止措置がとられている間患者数が一日2~5人という日が続きました。
コロナの影響は数週間でしたが、病院の移転などが起こった際には回復不能なほど患者数が減少するでしょう。
そのため、門前薬局のような形態は今の時代にそぐわない、将来性のないと思われています。
最近では敷地内薬局といった、大きな病院の敷地内に薬局が入っており門前薬局よりも利便性が高くなっているため、門前薬局の経営はさらに厳しくなるでしょう。
では、ドラッグストアの将来性はどうなのでしょうか
ドラッグストアの将来性
ドラッグストアは近年急激に店舗が増え、ドラッグストアに調剤が併設されている店舗も増えています。
この形態のメリットとしては、
- 買い物ついでに寄れる
- かかりつけの薬局にしてもらえる
- 調剤報酬が高い
デメリットとしては、
- 集客力が低ければ患者さんが来ない
- 用意しておく薬品数が多い
- 幅広い知識が必要
などが挙げられます。
ドラッグストアは門前薬局と違い、病院の近くなどではなく患者さんの生活圏の中にあることが多いため、どこの病院にかかっても同じ薬局に来てくれるというメリットがあります。
また、先ほど門前薬局のデメリットとして挙げた調剤報酬ではドラッグストアは42点貰うことができます。
デメリットとしては薬局の経営が集客力に依存するということです。
大手のドラッグストアでも新店舗を開業してから、薬局に患者さんが来始めるのには時間がかかるそうです。
最初の数か月は一日に数人しか来ないということもあるということなので、工夫して集客する必要があります。
しかし、面分業は国が推進している形態で、アメリカではこの面分業が一般的です。
国は医療費の削減のためにまだまだ面分業の推進をしていくと思われます。
そのため、門前薬局よりははるかに将来性が高いと言えるでしょう。
ただ、他にも将来性のある薬局の形態があります。
在宅・施設薬剤師
患者さんの家に訪問する在宅薬剤師や、施設を訪問する薬剤師などはまだまだ将来性の高い分野です。
高齢化によりお年寄りの数も増え、さらに近年は入院日数が減少し、在宅で介護や看護を受ける人も増えたため薬剤師の需要が高まっています。
特に施設での薬剤業務は一つ契約を取ると、何人もの患者さんを抱えることができるため大きな利益になります。
そのため、門前薬局でも積極的に在宅や施設の仕事を受け入れている薬局もあり、そのような薬局は病院やクリニックに依存していまい傾向にあるので、まだまだ生き残っていけるでしょう。
今すぐに潰れるということはないでしょうが、何年後かにはちゃんと考えないといけないような時期が来ると思うので、今からでも情報収集をしておいたほうがいいと思います。